セス・マンフィールドの白黒コントロールとの比較
2016年5月12日 Magic: The GatheringGP東京の裏側ではGPニューヨークが行われていた。そこでは白黒コントロールが優勝したのだが、自分が持ち込んだデッキも白黒だった。
では彼と自分、いったい何が違ったのだろうか?(実力という突っ込みは許してくれ!)
ニューヨークのトップ8は
白緑ー3
白黒ー2
4cクリプトリスー2
グリクシスー1
と比較的整った面子。
セスの白黒はコントロールとして徹底しており、メタゲームを読んでの構築だろうと予測できる。
『白黒コントロール(セス・マンフィールド)』
土地25 (黒18 白15)
4:《コイロスの洞窟/Caves of Koilos》
4:《放棄された聖域/Forsaken Sanctuary》
4:《乱脈な気孔/Shambling Vent》
6:《沼/Swamp》
3:《平地/Plains》
3:《ウェストヴェイルの修道院/Westvale Abbey》
1:《荒廃した湿原/Blighted Fen》
スペル35
4:《ゼンディカーの同盟者、ギデオン/Gideon, Ally of Zendikar》
3:《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス/Ob Nixilis Reignited》
2:《死の宿敵、ソリン/Sorin, Grim Nemesis》
4:《衰滅/Languish》
4:《骨読み/Read the Bones》
1:《次元の激高/Planar Outburst》
2:《精神背信/Transgress the Mind》
2:《破滅の道/Ruinous Path》
3:《苦渋の破棄/Anguished Unmaking》
2:《究極の価格/Ultimate Price》
3:《闇の掌握/Grasp of Darkness》
2:《神聖なる月光/Hallowed Moonlight》
3:《荒野の確保/Secure the Wastes》
サイドボード 15
1:《究極の価格/Ultimate Price》
1:《神聖なる月光/Hallowed Moonlight》
2:《精神背信/Transgress the Mind》
3:《ゲトの裏切り者、カリタス/Kalitas, Traitor of Ghet》
1:《静寂を担うもの/Bearer of Silence》
2:《死の重み/Dead Weight》
3:《強迫/Duress》
1:《変位エルドラージ/Eldrazi Displacer》
1:《難題の予見者/Thought-Knot Seer》
特徴的なのはメインクリーチャーゼロの完全コントロールデッキだということ。白黒の場合、少数だがクリーチャーが採用されていることが多い中、バッサリと切り捨てた。
ただギデオンを4枚と荒野の確保3枚(+ウェストベイル)があるため打点不足ということにはならなそうだ。
(セス・マンフィールド、覚えているだろうか?前回のプロツアーでエスパーコンとロールを持ち込んだ男である。ぶっちゃけこの手のデッキが好きなのではないか??)
対してGP東京にシャインが持っていった白黒は、メイン衰滅0難題4という風にコントロールというよりはミッドレンジといった方が近いかもしれない。
(http://shinesun.diarynote.jp/201605101615078613/)
『白黒ミッドレンジ』
土地 26 (黒16 白15 無色11)
4-白黒ミシュラ
4-白黒ダメラン
4-白黒タップランド
4-沼
3-平地
3-ウェストベイル
3-荒廃した湿原
1-海門の残骸
クリーチャー、PW 14
2-変異エルドラージ
2-不毛の地の考察者
4-難題の予見者
2-カリタス
3-アバシン
1-ソリン
スペル 20
2-闇の掌握
2-究極の価格
3-石の宣告
3-精神背信
3-骨読み
2-破滅への道
2-苦渋の破棄
3-荒野の確保
サイド 15
1-リンヴァーラ
2-ギデオン
2-強迫
2-死の重み
1-究極の価格
1-骨読み
1-無限の抹消
2-衰滅
3-作り変えるもの
それより前ゲームデーに持ち込んだ形は非常に似ている。(http://shinesun.diarynote.jp/201605012217349192/)
『白黒コントロール』
土地 26 (黒18 白17)
4-白黒ミシュラ
4-白黒ダメラン
4-白黒タップランド
6-沼
5-平地
2-ウェストベイル
1-荒廃した湿原
クリーチャー、PW 10
4-ギデオン
3-アバシン
1-ニクシリス
2-ソリン
スペル 24
3-闇の掌握
2-究極の価格
2-石の宣告
3-精神背信
4-骨読み
2-破滅への道
2-苦渋の破棄
3-衰滅
3-荒野の確保
サイド 15
4-冷酷な軍属
2-カリタス
3-強迫
2-死の重み
1-究極の価格
1-衰滅
1-無限の抹消
1-リンヴァーラ
まずは自分が本戦に持ち込んだ白黒ミッドレンジとのコンセプトの違いを明らかにし、その後ゲームデーで使用したものとの細部の違いをみていくことでプロの思考との違いを探ってみようと思う。
Ⅰ 白黒ミッドレンジと白黒コントロールの違い
大きな違いは2つある
・クリーチャーの有無
・衰滅の有無
自分の作った白黒ミッドレンジは「難題の予見者」を軸にクリーチャーで相手を倒すのを目標としている。「難題の予見者」や「作り変えるもの」は対処の難しいアタッカーとなるので、特にコントロールデッキに対して効果を発揮しやすい。
それに対しセスの白黒コントロールはメインから「衰滅」を4枚、更に「次元の激昂」まで採用し戦場にクリーチャーは生き残らせないという意思が強くみれる。
ギデオンやオーメンダールという全除去に影響されないフィニッシャーを採用しているため、相手のクリーチャーだけ排除してアタックということが可能だ。「罪人への強襲」でないのはその兼ね合いもあると思う。
それぞれ得意なデッキ、不得意なデッキが丸々違うのである。
セスの白黒コントロールはクリーチャーデッキを主敵に据えており、具体的には白人間、バントカンパニー、緑白トークンだろう。
対して我々の作った白黒ミッドレンジはその逆にコントロール系に対して強くできていた。
前回までの日記をよく読んでいる方ならお気づきかもしれない。我々は調整の際に緑白トークンや白人間を仮想的としていた。
が、なぜか完成したデッキはコントロールに強くなっていた。マジックの闇は深い…
Ⅱ セスの白黒コントロールとシャインの白黒コントロールの違い
実は違うという程違わない。目立つ違いはメインにクリーチャーがいるか、「神聖なる月光」
があるかというところ。
細かいところだと「石の宣告」の有無や土地枚数などあるのだが、そこは置いておく。
「神聖なる月光」は黒緑ハスクやクリプトリスなどバント以外にもカンパニーを運用するデッキが増えたためと考えられる。自分はアヴァシンを3枚採用していたが、確かに他のデッキほど上手い運用はできていなかった。
クリーチャーをゼロにすることで全除去との干渉をさけ、デッキコンセプトを明確にしている。自分はセスのリストだと攻め手が足りないように感じてしまったが、中途半端なカードを入れるくらいならコンセプトを優先した方がデッキとしては強かったと痛感した。
デッキの完成度はセス・マンフィールドが上なのは認めざるおえない。
しかしデッキコンセプトにはこの時点で気づいていたはずだ。ではなぜグランプリ当日、私はこのデッキを持っていかなかったのだろうか?
Ⅲ 白黒コントロールの調整不足
しばらくの間、白黒コントロールの調整をしていたのだがその過程でエスパードラゴンに対してどうしても勝てないという問題が発覚した。
とは言うものの、実のところこれは調整というほどやりこんでいない。ゲームデーやFNMに参加して得た感触程度のものである。またどのデッキにも有利不利はあるのだから、その部分をことさら意識していたことも間違いではあった。
事実どちらのトップ8にもエスパードラゴンはいない→カウンターを多用するコントロールはいなかった。その点でも自分のメタ読み精度の低さが問題としてある。
またセスのようにサイドから「難題の予見者」や「静寂を担うもの」という手段があるにも関わらず、それを検討しなかったのは明らかなミスだ。「難題の予見者」はともかく「静寂を担うもの」は現在のところエスパードラゴンくらいにしか使わないので、彼も意識していたのは間違いない。
MTGは無敵のデッキを作るゲームではない。その時その時点で最良のデッキを使い戦うゲームだということを覚えておこう。
シャインとセス・マンフィールドの違い
今回デッキコンセプトの検討段階では非常に良い考え方ができていた。ではセスと私で何が違ったのか。
それは勝つためのビジョンとそのための割り切りではないだろうか。
今回私はデッキの弱点を知ったことで、そのデッキを使う勇気が無くなってしまったのだ。しかしセスはその弱点も承知の上で、自分が勝つビジョンを想像し自信を持って挑んだのだろう。
例:グランプリ本戦ではクリーチャーデッキが多く、エスパードラゴンのようなパーミッションデッキは少ないはずだ。もしも予想が外れてエスパーだらけの時は腹をくくろう。
おそらく彼はトップ8のデッキが判明した段階で、優勝できると確信したんじゃなかろうか。それは彼の望み通りの展開だったから。今回私にはそれが足りなかった。トップ8にどのようなデッキが残り、それらとどのように戦い勝利するのか、そういったイマジネーションがまったくなかった。
それではデッキ選択も曖昧になるし、よしんば上位に残れても大事な場面で勝ちを落とす可能性が高い。それは自分にとって予想していなかった事態だからだ。
これは先日のPPTQで学んだことのはずだったのだが、まだ身に染みるほどには理解できてなかったようだ。
今回セス・マンフィールドが優勝してくれたおかげで、今の自分との違いを検討する良い機会になった。きっとこのことが自分をさらに成長させてくれるはずだ。
では彼と自分、いったい何が違ったのだろうか?(実力という突っ込みは許してくれ!)
ニューヨークのトップ8は
白緑ー3
白黒ー2
4cクリプトリスー2
グリクシスー1
と比較的整った面子。
セスの白黒はコントロールとして徹底しており、メタゲームを読んでの構築だろうと予測できる。
『白黒コントロール(セス・マンフィールド)』
土地25 (黒18 白15)
4:《コイロスの洞窟/Caves of Koilos》
4:《放棄された聖域/Forsaken Sanctuary》
4:《乱脈な気孔/Shambling Vent》
6:《沼/Swamp》
3:《平地/Plains》
3:《ウェストヴェイルの修道院/Westvale Abbey》
1:《荒廃した湿原/Blighted Fen》
スペル35
4:《ゼンディカーの同盟者、ギデオン/Gideon, Ally of Zendikar》
3:《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス/Ob Nixilis Reignited》
2:《死の宿敵、ソリン/Sorin, Grim Nemesis》
4:《衰滅/Languish》
4:《骨読み/Read the Bones》
1:《次元の激高/Planar Outburst》
2:《精神背信/Transgress the Mind》
2:《破滅の道/Ruinous Path》
3:《苦渋の破棄/Anguished Unmaking》
2:《究極の価格/Ultimate Price》
3:《闇の掌握/Grasp of Darkness》
2:《神聖なる月光/Hallowed Moonlight》
3:《荒野の確保/Secure the Wastes》
サイドボード 15
1:《究極の価格/Ultimate Price》
1:《神聖なる月光/Hallowed Moonlight》
2:《精神背信/Transgress the Mind》
3:《ゲトの裏切り者、カリタス/Kalitas, Traitor of Ghet》
1:《静寂を担うもの/Bearer of Silence》
2:《死の重み/Dead Weight》
3:《強迫/Duress》
1:《変位エルドラージ/Eldrazi Displacer》
1:《難題の予見者/Thought-Knot Seer》
特徴的なのはメインクリーチャーゼロの完全コントロールデッキだということ。白黒の場合、少数だがクリーチャーが採用されていることが多い中、バッサリと切り捨てた。
ただギデオンを4枚と荒野の確保3枚(+ウェストベイル)があるため打点不足ということにはならなそうだ。
(セス・マンフィールド、覚えているだろうか?前回のプロツアーでエスパーコンとロールを持ち込んだ男である。ぶっちゃけこの手のデッキが好きなのではないか??)
対してGP東京にシャインが持っていった白黒は、メイン衰滅0難題4という風にコントロールというよりはミッドレンジといった方が近いかもしれない。
(http://shinesun.diarynote.jp/201605101615078613/)
『白黒ミッドレンジ』
土地 26 (黒16 白15 無色11)
4-白黒ミシュラ
4-白黒ダメラン
4-白黒タップランド
4-沼
3-平地
3-ウェストベイル
3-荒廃した湿原
1-海門の残骸
クリーチャー、PW 14
2-変異エルドラージ
2-不毛の地の考察者
4-難題の予見者
2-カリタス
3-アバシン
1-ソリン
スペル 20
2-闇の掌握
2-究極の価格
3-石の宣告
3-精神背信
3-骨読み
2-破滅への道
2-苦渋の破棄
3-荒野の確保
サイド 15
1-リンヴァーラ
2-ギデオン
2-強迫
2-死の重み
1-究極の価格
1-骨読み
1-無限の抹消
2-衰滅
3-作り変えるもの
それより前ゲームデーに持ち込んだ形は非常に似ている。(http://shinesun.diarynote.jp/201605012217349192/)
『白黒コントロール』
土地 26 (黒18 白17)
4-白黒ミシュラ
4-白黒ダメラン
4-白黒タップランド
6-沼
5-平地
2-ウェストベイル
1-荒廃した湿原
クリーチャー、PW 10
4-ギデオン
3-アバシン
1-ニクシリス
2-ソリン
スペル 24
3-闇の掌握
2-究極の価格
2-石の宣告
3-精神背信
4-骨読み
2-破滅への道
2-苦渋の破棄
3-衰滅
3-荒野の確保
サイド 15
4-冷酷な軍属
2-カリタス
3-強迫
2-死の重み
1-究極の価格
1-衰滅
1-無限の抹消
1-リンヴァーラ
まずは自分が本戦に持ち込んだ白黒ミッドレンジとのコンセプトの違いを明らかにし、その後ゲームデーで使用したものとの細部の違いをみていくことでプロの思考との違いを探ってみようと思う。
Ⅰ 白黒ミッドレンジと白黒コントロールの違い
大きな違いは2つある
・クリーチャーの有無
・衰滅の有無
自分の作った白黒ミッドレンジは「難題の予見者」を軸にクリーチャーで相手を倒すのを目標としている。「難題の予見者」や「作り変えるもの」は対処の難しいアタッカーとなるので、特にコントロールデッキに対して効果を発揮しやすい。
それに対しセスの白黒コントロールはメインから「衰滅」を4枚、更に「次元の激昂」まで採用し戦場にクリーチャーは生き残らせないという意思が強くみれる。
ギデオンやオーメンダールという全除去に影響されないフィニッシャーを採用しているため、相手のクリーチャーだけ排除してアタックということが可能だ。「罪人への強襲」でないのはその兼ね合いもあると思う。
それぞれ得意なデッキ、不得意なデッキが丸々違うのである。
セスの白黒コントロールはクリーチャーデッキを主敵に据えており、具体的には白人間、バントカンパニー、緑白トークンだろう。
対して我々の作った白黒ミッドレンジはその逆にコントロール系に対して強くできていた。
前回までの日記をよく読んでいる方ならお気づきかもしれない。我々は調整の際に緑白トークンや白人間を仮想的としていた。
が、なぜか完成したデッキはコントロールに強くなっていた。マジックの闇は深い…
Ⅱ セスの白黒コントロールとシャインの白黒コントロールの違い
実は違うという程違わない。目立つ違いはメインにクリーチャーがいるか、「神聖なる月光」
があるかというところ。
細かいところだと「石の宣告」の有無や土地枚数などあるのだが、そこは置いておく。
「神聖なる月光」は黒緑ハスクやクリプトリスなどバント以外にもカンパニーを運用するデッキが増えたためと考えられる。自分はアヴァシンを3枚採用していたが、確かに他のデッキほど上手い運用はできていなかった。
クリーチャーをゼロにすることで全除去との干渉をさけ、デッキコンセプトを明確にしている。自分はセスのリストだと攻め手が足りないように感じてしまったが、中途半端なカードを入れるくらいならコンセプトを優先した方がデッキとしては強かったと痛感した。
デッキの完成度はセス・マンフィールドが上なのは認めざるおえない。
しかしデッキコンセプトにはこの時点で気づいていたはずだ。ではなぜグランプリ当日、私はこのデッキを持っていかなかったのだろうか?
Ⅲ 白黒コントロールの調整不足
しばらくの間、白黒コントロールの調整をしていたのだがその過程でエスパードラゴンに対してどうしても勝てないという問題が発覚した。
とは言うものの、実のところこれは調整というほどやりこんでいない。ゲームデーやFNMに参加して得た感触程度のものである。またどのデッキにも有利不利はあるのだから、その部分をことさら意識していたことも間違いではあった。
事実どちらのトップ8にもエスパードラゴンはいない→カウンターを多用するコントロールはいなかった。その点でも自分のメタ読み精度の低さが問題としてある。
またセスのようにサイドから「難題の予見者」や「静寂を担うもの」という手段があるにも関わらず、それを検討しなかったのは明らかなミスだ。「難題の予見者」はともかく「静寂を担うもの」は現在のところエスパードラゴンくらいにしか使わないので、彼も意識していたのは間違いない。
MTGは無敵のデッキを作るゲームではない。その時その時点で最良のデッキを使い戦うゲームだということを覚えておこう。
シャインとセス・マンフィールドの違い
今回デッキコンセプトの検討段階では非常に良い考え方ができていた。ではセスと私で何が違ったのか。
それは勝つためのビジョンとそのための割り切りではないだろうか。
今回私はデッキの弱点を知ったことで、そのデッキを使う勇気が無くなってしまったのだ。しかしセスはその弱点も承知の上で、自分が勝つビジョンを想像し自信を持って挑んだのだろう。
例:グランプリ本戦ではクリーチャーデッキが多く、エスパードラゴンのようなパーミッションデッキは少ないはずだ。もしも予想が外れてエスパーだらけの時は腹をくくろう。
おそらく彼はトップ8のデッキが判明した段階で、優勝できると確信したんじゃなかろうか。それは彼の望み通りの展開だったから。今回私にはそれが足りなかった。トップ8にどのようなデッキが残り、それらとどのように戦い勝利するのか、そういったイマジネーションがまったくなかった。
それではデッキ選択も曖昧になるし、よしんば上位に残れても大事な場面で勝ちを落とす可能性が高い。それは自分にとって予想していなかった事態だからだ。
これは先日のPPTQで学んだことのはずだったのだが、まだ身に染みるほどには理解できてなかったようだ。
今回セス・マンフィールドが優勝してくれたおかげで、今の自分との違いを検討する良い機会になった。きっとこのことが自分をさらに成長させてくれるはずだ。
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